まだ昭和だったころのある日。
母が怪談のような口調で、私にこう言うのです。
「この人形、朝になったら後ろを向いているのよ・・・」
足摺岬に行ったとき、お土産に買った人形。
二つあるということは、
どちらも気に入って選べなかったんでしょうね。
後ろ姿はこちら。
確かに朝起きて、前を向いていたはずの人形がこうなってたら、
ぎょっとするかも。
しかし、しかし、これはどうしてか後日判明しました。
おばけじゃありませんでした。
当時、このお人形は、テレビの上に置かれていたのです。
昭和の小さな、アナログテレビです。
その前を人が通ると、テレビは小さく揺れて
お人形がカタカタ鳴っていました。
その時に回っていたのでしょう(笑)。
みんなで大笑いしたのを、このお人形を見ると
昨日のことのように思い出します。